Come On! 糖尿病教室
-第2回 糖尿病教室へ行ってみよう!
日本人の糖尿病、発見されにくい食後高血糖が多い
日本人の糖尿病には、欧米人と違う特徴があります。欧米人ではインスリン分泌が枯渇した1型糖尿病も多く見られますが、日本人ではインスリン分泌の低下かインスリンの作用の低下した、2型糖尿病が圧倒的に多数を占めます。
実は、その2型糖尿病のタイプもここ30年で大きく様変わりしています。以前はインスリン分泌が低下したタイプの人が多かったのですが、徐々に、インスリン分泌は保たれていてもインスリンの作用低下(インスリン抵抗性)したタイプの2型糖尿病患者が増えてきています。わずか30年で日本人の遺伝子が変化することはありませんから、食生活・運動習慣の変化による肥満人口の急激な増加が背景にあると言えます。
ところで、日本人の2型糖尿病は、健康診断などで発見されにくいというのをご存知でしょうか。その理由は、食後高血糖を示す2型糖尿病が多いという特徴があるからなのです。
健康診断や人間ドックでは、空腹時に採尿や採血することが多く、その場合、食後高血糖は尿糖や血糖値に反映されませんので、気づかれにくいのです。
そしてもうひとつ、よくある誤解されがちなのが「尿糖」です。
糖尿病っていう名前がついているくらいなので、皆さん、血糖値が正常値を越えるとすぐに尿糖も陽性(プラス)になると思っていませんか?実はこれも、大きな誤解なのです。
実は尿糖値は血糖値が160mg/dL以上※にならないと、プラスになりません。
血糖値による糖尿病の判定基準を見てみると、空腹時血糖値が109mg/dLまでは正常型、110mg/dL~125mg/dLは境界型(IFG)、そして126mg/dL以上が糖尿病型になります(図1)。※180mg/dL以上という報告もあります。
つまり空腹時で160mg/dL以上の血糖値を示すというのは、血糖コントロールがかなり悪化した状態なのです(図2)。
このように、糖尿病教室は図や表などを用いて患者さんに糖尿病についての正しい知識を得てもらえるように工夫がこらされています。一度なってしまうと完治することのないのが糖尿病です。これから長い付き合いとなる糖尿病のことを理解した上で、自己管理していけるようにアドバイスされる場所と考えていただければイメージしやすいと思います。
次回は、実際の指導内容として血糖コントロールについてお話をしてみたいと思います。
著者プロフィール:小宮山 恭弘(糖尿病療養指導士)
1988年 行岡医学技術専門学校臨床検査科卒業。2001年より大阪鉄道病院にて糖尿病療養指導士として勤務。2015年3月 大阪市立大学大学院 生活科学研究科卒業。博士(生活科学)。