Come On! 糖尿病教室
-第4回 個人療養指導:糖尿病腎症
糖尿病腎症に関する指導:Aさん(53歳・会社員)の場合
Aさんは、健康診断で血糖値と尿糖を指摘され、保健師さんに医療機関の受診を勧められていましたが、放置していました。ところが、疲れやすく体がだるい日が多いことや足がむくんでいることが多くなって心配になり、やっと病院へ受診されました。
血液検査や尿検査を受けて、糖尿病腎症が進行していることが判明しました。腎症について「Aさんが疑問を持っているので、検査の意義を中心に指導して欲しい」という主治医の依頼があり、個人療養指導で検査の説明を行いました。
CDEJ: おはようございます、Aさん。
Aさん: おはようございます。
CDEJ: 先生からAさんの検査についてのギモンについて説明するように言われましたが、どのような点にギモンをお持ちでしょう?
Aさん: いやあ、先生は僕の腎臓が悪い悪いって心配してくれるんだけど……。腎症ではなくて単に疲れてるだけやと思うんだけど、尿中微量アルブミンってのが増えてきてるって言われてね。でも血清BUNや血清Creは正常だし、まだ腎臓は大丈夫じゃないかと思って、詳しく聞いてみたくて……。
CDEJ: Aさんは血液検査ではまだ正常値なのに、尿の検査で腎症の進行を指摘されたので、どうしてかなとギモンに思われてるんですね。
まず、先生が言ったという『腎症』ですが、これは2009年に出された、CKD(慢性腎臓病)治療ガイドラインなんですが、ここにいろんな治療に際しての指標が載っています。このガイドラインに沿って説明しますね。
[腎症の検査項目-1]
BUN(尿素窒素) 食事中に含まれる蛋白質は、体の中ではアミノ酸の形で利用されますが、そのとき有害なアンモニアも産生します。
これを肝臓で無毒化したものが尿素です。血液中の尿素を尿素窒素と呼びます。
尿素窒素は、腎糸球体でろ過されて尿中へ排泄されますが、腎臓が悪くなるとろ過できなくなり血中の濃度が上昇します。
Cre(クレアチニン) クレアチニンは、筋肉が働くためのエネルギー源であるクレアチンが利用されてできる物質です。
クレアチニンは腎糸球体でろ過され、尿細管で再吸収されずに尿中に排泄されます。糸球体ろ過率が低下する腎炎などではクレアチニンの値が上昇します。