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Come On! 糖尿病教室

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-第4回 個人療養指導:糖尿病腎症

血液をろ過する力の指標 GFR(糸球体ろ過量)

CDEJ: 腎臓は血液をろ過する(きれいにする)臓器です。腎臓の機能を知るには、血液をろ過する力がどのくらい残っているかを指標にします。
この指標にはAさんのおっしゃった血液中に残っている、ろ過しきれなかった余分なものである、血清BUNや血清Creを測るという検査もありますが、実はダイレクトにろ過する力を反映するのがGFR(糸球体ろ過量)です。

CDEJ: 最近では血清Creの値と年齢から簡単にGFRを計算して推定する、推算糸球体ろ過量(e-GFR)がよく用いられています。このGFRが低下するころには、血清Creも上昇していますが、そのときには腎症は進行してしまっているんです。そこで、もっと早期の腎症を捉える鋭敏な検査が必要になります。それが尿中微量アルブミンです。

Aさん: 血液じゃなくて、尿の検査を見ていたんですか?どうして先生は尿の検査結果を気にしてたんですか?

CDEJ: Aさんの場合、治療薬が以前は一日3回飲んでいた薬だったのが、今は一日1回で済む、DPP4阻害薬に変更になりましたね。
服薬回数が減るメリットがある反面、この薬は、『腎症の方には慎重投与、高齢の腎症には禁忌』とされています。
だから先生は、Aさんの腎臓をきちんとみるために、尿中微量アルブミンの値に気をつけていたんです。

CDEJ: この尿中微量アルブミンが299mg/Day以下なら、腎症2期ですから、血糖コントロールを改善して血圧に気をつけていれば、もとの元気な腎臓に戻るんですよ。

Aさん: そっか……。じゃあ、今がんばれば、透析にならなくてすむってこと?

CDEJ: 糖尿病は長い付き合いが必要ですから、将来的に腎症もある程度は進行するかもしれません。でも今がんばると、腎症の進行を確実に遅らせることができます。僕たちも応援していますので、一緒にがんばりましょう。
 


[腎症の検査項目-2]

GFR(糸球体ろ過量) 腎臓の血液をろ過する力がどのくらい残っているかの指標です。

e-GFR(推算糸球体ろ過量) GFRを、血清Creの値と年齢から計算して推定したものです。

尿中微量アルブミン  腎臓の機能が低下すると、ろ過する網目が大きくなり通常は尿に排出されない蛋白が尿に出てしまいます。しかし早期の腎症では、蛋白より分子量の小さなアルブミンが出てきます。健常時でも尿中には30mg/Day未満の微量なアルブミンが尿に出ています。
早期腎症では、尿試験紙では検出されない30~299mg/Dayの微量なアルブミンが出てきます。この時期に腎症を発見すれば、腎症の進行を遅らせることができます。


 

著者プロフィール:小宮山 恭弘(糖尿病療養指導士)
1988年 行岡医学技術専門学校臨床検査科卒業。2001年より大阪鉄道病院にて糖尿病療養指導士として勤務。2015年3月 大阪市立大学大学院 生活科学研究科卒業。博士(生活科学)。

 

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