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Come On! 糖尿病教室

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-第5回 糖尿病とガンの関係

運動・食事療法もがんばっているのに、血糖コントロールが悪化する

Bさんは、糖尿病は万病のもとと思い、自分で食事の記録をつけたり体重をカレンダーに書いたりしてがんばってきたのですが、血糖コントロールが悪化して、努力しても血糖が下がらないので、きっと薬の効き目が悪くなったせいじゃないかと思っています。
また先生に対しても、がんばっているのにどうして疑われるんだろうという思いもあったようです。さらに紹介先の当院でもCDEJが同じような質問をしてしまうと、Bさんは、その思いや気持ちを話さなくなってしまい、医療者と患者さんとの間の信頼関係が崩れてしまいます。

こうした些細なことで患者さんの信頼を損なうことがないように気をつけるのも私たちCDEJの仕事です。

さて、Bさんは薬もきちんと飲んで、運動・食事療法もすごくがんばっているのに、どうして血糖コントロールが悪化してしまったのでしょうか?

主治医はBさんが1ヵ月前からみぞおちから右の上腹部に違和感があり、時折市販の胃薬を飲んでいましたが、あまり効果がなかったという話を問診で聞き、腹部エコー(超音波)検査が必要と判断しました。翌日の腹部エコー検査の結果、胆石とすい臓に1cmの腫瘍が見つかりました。すい臓の腫瘍について精査することになり、精査の結果、腫瘍は早期のすい臓ガンであることがわかりました。

Bさんはきちんと療養生活を送っていたのですが、このすい臓ガンのために、血糖コントロールが悪化していたのです。幸い、すい臓ガンは早期で発見されたため、外科手術を経て1ヵ月後に無事に退院することができました。

Bさんのように療養生活をきちんと続けてきたのに、突然血糖コントロールが悪化する場合には、Bさんの疑った、薬の効き目が悪くなる場合と、今回のような悪性腫瘍(ガン)ができた場合があります。

もちろん食べ過ぎや飲み過ぎで血糖コントロールが悪化する患者さんも多いので、まず医療者はそれを疑うのですが、実際には生活の乱れ以外に原因があったということもあるのです。

 

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