Come On! 糖尿病教室
-第5回 糖尿病とガンの関係
血糖コントロール悪化の原因、薬の二次無効とガン
さてここで、Bさんが最初に疑った薬の効き目が悪くなったせいで血糖コントロールが悪化したケースについてもう少し見てみましょう。
経口薬の二次無効
血糖値を改善するお薬の中でよく使用される、インスリン分泌促進剤の中にスルホニル尿素薬(SU剤)があります。この薬はすい臓に作用してインスリン分泌を促し、血糖値を降下させる作用があります。
このSU剤を長く飲みつづけている患者さんの中で、ある時期から、薬をきちんと服用しているのにインスリン分泌作用が起こらない場合があります。これを二次無効といいます。
このようなケースでは、患者さんはきちんと薬を飲んでいるにも関わらず効かなくなり血糖コントロールが悪化してしまいます。
糖尿病だと悪性腫瘍(ガン)のリスクが高い
ガンが原因で血糖コントロールが悪化する、それだけでなく糖尿病患者さんにとって、少しショッキングな事実があります。
2006年の厚生労働省の研究から、糖尿病患者さんは、一般の人に比べ20~30%ガンになりやすいことがわかりました。
男性は肝臓ガン、腎臓ガン、すい臓ガン、結腸ガン、胃ガンの順に多く、女性は卵巣ガン、肝臓ガン、胃ガンの順に多く、卵巣ガンは2.4倍とリスクが高いこともわかりました。
さらに、すい臓ガン患者の約20%に糖尿病があることもわかりました。
このように糖尿病患者さんはそうでない人に比べてガンのリスクが高いので、いつもと違う症状を感じたときやいつもと同じ生活を続けているのに、急に血糖コントロールが悪化した場合には、早めに血液検査やエコーなどの画像検査を受けて、ガンの早期発見に努めましょう。
著者プロフィール:小宮山 恭弘(糖尿病療養指導士)
1988年 行岡医学技術専門学校臨床検査科卒業。2001年より大阪鉄道病院にて糖尿病療養指導士として勤務。2015年3月 大阪市立大学大学院 生活科学研究科卒業。博士(生活科学)。