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Come On! 糖尿病教室

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-第7回 脳血管障害のリスク

頸動脈エコーで、無症候性の脳血管障害を見つける

動脈硬化とは、部分的に動脈の壁が厚くなり動脈本来の弾性の低下(=硬くなる)とともに、血管の内膜に繊維性肥厚や脂質の沈着やアテローム(粥状の塊)などの変化が起こり、潰瘍、プラーク(血栓)などの複合病変を来す、「血管が厚くなる」「粥状化」の2つの意味を含んでいます。
脳血管障害は、脳や頸部の血管の動脈硬化で起こるものです。頸動脈エコー検査は、一番簡単に頸部の動脈硬化の状態を知って、脳血管障害への進行の有無を予想することができます。
 

頸動脈エコー検査

頸動脈エコーは、動脈硬化のスクリーニング検査として、多くの病院や検診機関で行われる検査です。これは頸動脈が動脈硬化の好発部位であることに加え、頸部は大血管が表在を走行し、比較的動脈を観察しやすいという特徴を持つためです。

頸動脈エコーでは、総頸動脈・内頸動脈の内膜中膜複合体(IMT)の厚みと血管内にできたプラーク(血栓)を測定するとともに、プラークによる血管狭窄の有無を判定します。

IMT計測では、血管年齢を簡便に知ることができます。
IMTは、およそ10年で0.1mmずつ厚くなります。60歳以下ではIMTの厚みは1.0mm以下で、1.1mmを越えると動脈硬化が進行していると言えます。

頸動脈狭窄症は、症候性か無症候性か、あるいは血管の狭窄の有無で分類されます。
血管狭窄病変が認められた場合には、狭窄度(狭窄面籍または狭窄径)にて重症度評価を行います。
症候性とは頸動脈狭窄症が原因で脳梗塞やTIA(一過性虚血発作)などが生じたものを、無症候性とは狭窄による症状がないものを言います。
血管の狭窄度の評価法は、狭窄度が30~49%までのものを軽度、50~69%までを中等度、70%以上を高度と分類するものが一般的です。

血管の中のプラークは、総計が10mmを越えた場合、頭部MRI検査や運動負荷心電図などの心臓・脳血管疾患の精査が勧められます。
これは、頸動脈は脳内の血管と繋がっているため、ここだけが障害される、または無事であるということは考えにくく、頸動脈にプラークなどがある場合は、その先にある脳内血管も同様に動脈硬化で痛んでいると考えられるためです。
ですから、頸動脈エコーで頸動脈の動脈硬化がはじまっていないかどうかを検査することが、脳血管疾患のリスク回避につながるのです。

特に自覚症状がない場合でも、糖尿病に高血圧、脂質代謝異常、肥満などの指摘をされている方は、動脈硬化のリスクが高いので定期的に頸動脈など動脈硬化の検査を受けておきましょう。

著者プロフィール:小宮山 恭弘(糖尿病療養指導士)
1988年 行岡医学技術専門学校臨床検査科卒業。2001年より大阪鉄道病院にて糖尿病療養指導士として勤務。2015年3月 大阪市立大学大学院 生活科学研究科卒業。博士(生活科学)。

 

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