Come On! 糖尿病教室
-第7回 脳血管障害のリスク
糖尿病だと、心筋梗塞などの発症や死亡率が高い
皆さんこんにちは(^O^)
糖尿病療養指導士(CDEJ)の小宮山です。
前回は、糖尿病に出現する合併症の大血管障害から狭心症や心筋梗塞のお話をしました。7回目となる今回は、もうひとつの大血管障害である、脳血管障害についてのお話です。
日本人は脳梗塞の発症が少なかった
日本は、四方を海で囲まれているため、日本人はタンパク源として魚をよく食べていました。特に青魚には動脈硬化を抑えるEPAなどが豊富に含まれていますし、また、和食は野菜中心で豆類なども多く摂れるため、自然に動脈硬化を抑えることのできる食生活でした。
しかし昭和40年代から、徐々に食生活と歩行距離に大きな変化が現れます。食生活の欧米化が進み、牛・豚などの動物性脂肪やタンパク摂取量が増えました。さらに自動車の普及や鉄道などの交通網が整備されたため、日本人の歩行距離はこの頃から極端に少なくなってきました。
この食生活と運動習慣の変化により、日本人の死亡原因は悪性新生物とほぼ同じくらい、脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患が上位を占めるようになってきました。
厚生労働省の2010年人口動態統計によれば、1990年以降死亡原因疾患の1位は悪性新生物ですが、心疾患、脳血管疾患の動脈硬化性疾患による死亡は、全体の死亡数の26%を占め、1位の悪性新生物の29%とほぼ同程度にまで迫っています。
心筋梗塞や脳梗塞に代表される動脈硬化性疾患の増加は日本人の生活習慣の変化と大きく関わっています。歩行距離の減少と動物性タンパク質の摂取量増加、コンビニエンスストア・24時間営業店の増加などの生活環境の変化が、動脈硬化性疾患の増加の大きな要因であると言われています。
糖尿病の患者さんは無痛性の心筋梗塞になりやすい。じゃあ脳梗塞は?
人には発達の過程で血管を新生する能力があります。
脳への血液の供給が途絶えると、人は死んでしまいます。そのため徐々に動脈硬化が進行して血管が細くなったとき、自分で血管のう回路を作ります。これを側副血行路と呼びます。
プラーク(血栓)などの塞栓の場合はこのような機能はないのですが、徐々に血管が細くなっていった場合には側副血行が発達するため、血管が詰まっていても無症状というケースがあります。
糖尿病は無症状でも、糖尿病が見つかったときには、かなり症状が進行しているという怖さがここにあります。
では、具体例でそのような状態になった患者さんの例を見てみましょう。