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Come On! 糖尿病教室

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-第17回 強化インスリン療法と血糖自己測定

強化インスリン療法とカーボカウント法

インスリンの無い状態では、血糖値は上昇し続けます。正常血糖値を保つために、インスリンが分泌されるわけですが、インスリン分泌には2種類あります。
ひとつは「基礎分泌」。これは、空腹時や食間のような血糖値が低いときにも分泌されるインスリンです。もうひとつが「追加分泌」。これは食後の血糖値上昇に伴って分泌されるインスリンで、これによってブドウ糖が速やかに肝臓や末梢組織に取り込まれて血糖値が低下します。

強化インスリン療法

1型糖尿病では、食後に分泌される追加分泌だけでなく、やがて基礎分泌も枯渇していきます。このため基礎分泌の代わりになるインスリン注射と、食後の追加分泌の代わりになるインスリン注射の両方が必要となります。
典型的な1型糖尿病患者さんに対しては、強化インスリン療法が行われます。作用時間の長い(持効型)インスリン製剤1回と毎食前に作用時間の短い(超速攻型)インスリン製剤を注射します。この1日4回の注射で、健康な人のインスリン分泌動態により近いインスリン補充を行い、血糖の正常化を図ります。さらに合併症の発症や進行を防ぐためでもあります。

強化インスリン療法では、注射の後に血糖値を測定します。これは、インスリン注射による血糖値の変動をチェックして、インスリン製剤の量を適正なものにするためです。ある時点の血糖値に影響を与えたインスリンを「責任インスリン」と呼びます。

基本的に外来でインスリン治療を行う場合には、必ず責任インスリンの考え方に基づいてインスリン製剤の量を変更していきます。しかし、1型糖尿病患者のうち、インスリン分泌がわずかながらに残っている患者さんでは、このような調整方法で血糖調整が可能ですが、病期が進行しインスリン分泌が全くない、枯渇した患者さんの場合は、この考え方のみではコントロールが困難です。このような患者さんに対しては、カーボカウント法(応用カーボカウント)や、経済的に可能ならCSII(インスリンポンプ)を行うことが、現在の主流になってきています。
 

カーボカウント法

カーボとは炭水化物、カウントは数えるという意味で、直訳すると「炭水化物を数える」です。これは、血糖値を上昇させるのは主に摂取した炭水化物の量に依存するとの考え方より、患者さんが摂取した食事の炭水化物量から、必要なインスリン量を計算するというものです。
しかし実際には、血糖値は食事以外にも運動量やストレスなどからも影響を受けて変動するため、インスリン注射の前後で、血糖値がどれくらいであるかを調べる必要があります。
 

 

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