Come On! 糖尿病教室
-第19回 糖尿病と歯のケア-その1
歯磨きで歯ぐきに出血があるMさん(67歳・男性)
Mさんは会社を定年後、関連会社にシニア社員として働いています。会社の健診で尿糖と血糖値を指摘され、近所のクリニックで2型糖尿病と診断されました。経口血糖薬を処方され、月に一度の定期受診時に先生から、最近HbA1cが少しずつ上昇して8%後半になっていること、薬の飲み忘れや間食が増えているのではないかと指摘されました。
確かに昼食後の薬を忘れることや、小さな菓子パンをよく食べるようになっていたMさん。このままだと合併症が心配と注意を受けました。
Mさんは、ちょっと糖尿病とは関係ないとかもしれないと前置きしつつ、歯磨き時によく歯ぐきから出血するようになったことを相談すると、歯科でちゃんと見てもらったほうがいいとアドバイスされ、歯科受診することにしました。
衛生士: Mさん、おはようございます。今日はどんな症状で来られましたか?
Mさん: おはようございます。最近、歯がぐらぐらして、歯磨きでそんなに強く磨いてないのに、よく歯ぐきから出血するんですよ。でね、糖尿でかかっている内科の先生に相談したらここを紹介されて。
衛生士: そうですかぁ。痛みはないんですね。
Mさん: 痛くはないんだけど、なんか歯が長くなったというか、齢のせいか歯ぐきがやせてきたように思うね。
衛生士: 歯科医師の診察で状態を見ますが、最近、血糖値やHbA1cの値が高くなっていないですか?
Mさん: ええ?糖尿が悪いと歯にも影響するんですか?
衛生士: はい、糖尿病の血糖コントロールが悪化すると歯周病になりやすくなったり、歯周病が悪化したり。逆に歯周病をきちんと治療したら、糖尿病の血糖コントロールも改善しますよ。血糖値が安定すると歯周病も進行しにくいんですよ。
Mさん: へぇ、だから糖尿病の先生は歯科の先生にちゃんとみてもらおうって言ったんだね。
衛生士: そうなんですよ。糖尿病が悪化すると歯にも影響があるんですよ。
歯科で血糖値やHbA1cの値が高くなっていないかと当てられ、びっくりしたMさん。糖尿病と歯が関係するなんてこれっぽっちも思っていなかったのです。
その後、歯科医師の診察で歯周病が進行して歯が抜ける危険があることを指摘され、歯科衛生士から正しい歯の磨き方や歯間ブラシの使い方などの説明を受け、定期的に歯科にも受診することになりました。