糖質制限食を正しく知ろう!
-第8回 今話題のあの脂質(1) トランス脂肪酸
なぜトランス脂肪酸が体に悪い、と言われるの?
一部では、トランス脂肪酸の多くが人工的に作られていることや、その化学構造が似ていることから「食べるプラスチック」などと言われていますが、これはあまりにも極端です。こうした過大な表現に惑わされないように注意が必要です。
とは言え、実際に、トランス脂肪酸を多く摂取すると、血液中のLDLコレステロール値が増加することから、動脈硬化や心疾患のリスクが高くなるため「摂り過ぎに注意が必要だ」とされています。そのため、トランス脂肪酸をできるだけ摂取しないようにする努力が必要です。
トランス脂肪酸を多く摂取する国では、その含有量の表示の義務付けや、使用に規制を設けている国もあります。この原稿執筆の2015年時点では、日本では比較的その摂取量が少ないとされているため、いまのところ表示の義務付けや含有量に関する基準値はまだありません。
ただし、それはあくまでも平均での値となっており、都市部に住む20~30代女性はその食生活の傾向からトランス脂肪酸の摂取量が多くなっていると言われています。
菓子パンや、ケーキ・ドーナツ、クッキーやスナック菓子、ファストフードや揚げ物などを日常的に食べている方はトランス脂肪酸の取り過ぎになっている可能性が高いので、注意が必要です。
加工食品や揚げ物に偏った食事は避け、肉・魚や大豆、ナッツ類など、もともと食品に含まれている脂質を摂取するようにしましょう。
著者プロフィール:大西真由美(管理栄養士)
1999年 栄養専門学校卒業後、管理栄養士資格を取得。病院や老人施設に勤務。食や料理の知識を深めるため飲食業界へ転職。そこで糖質制限食と出会う。現在は子育てをしながらフリーの管理栄養士として活動中。一般社団法人健康栄養支援センター臨床栄養部に所属。