血液から見える健康
-第10回 グルカゴン-他にもある糖尿病の検査
グルカゴン負荷試験って?
グルカゴン負荷試験は、糖尿病の場合にすい臓がインスリンを分泌する能力がどれくらいあるかを調べる検査です。検査結果より、インスリン治療の必要性など治療法を選択する際の目安とします。
冒頭で説明しましたが、グルカゴンはインスリンの分泌を刺激しますので、グルカゴンを注射してすい臓のインスリン分泌を刺激した後、血中Cペプチド(第9回参照)を測定してインスリン分泌量を推定します。
ここでグルカゴン負荷試験の一例をあげてみましょう(血中Cペプチド採血のタイミング、採血回数は、検査する施設により多少異なります)。
① 早朝空腹時に負荷前の血中Cペプチド採血をします。
② グルカゴン1mgを静脈注射します。
③ 注射5分後に負荷後の血中Cペプチド採血をします。
グルカゴン検査は、血糖、インスリン検査ほどメジャーな検査ではなく、現在あまり一般的には行われておらず糖尿病の治験など研究分野において行われている状況です。また、グルカゴン負荷試験もメジャーな検査ではありませんが、糖尿病におけるすい臓機能評価の検査として有用であると言えますので、糖尿病の検査としてみなさんの頭の片隅に記憶していただければ幸いです。
著者プロフィール:堀 行雄(臨床検査技師)
2000年インクロムの提携医療機関に入職して以来、臨床検査室で忙しく検体検査をする日々。年間およそ5000人分の血液を分析。