スマートダイエットで行こう
-第4回 実例紹介(糖尿病腎症)
糖尿病腎症と闘う ~奥様の声
奥様の声
主治医からは、主人の寿命が長くない可能性をつげられ、主人も私もある程度の覚悟はできています。人工透析を始めてから2年が経過、今でもボウリング大会に出場し続けることを応援しています。
突然、仕事中やボウリング中に倒れこむことも考えられますから、それは心配ですが、主人から大好きなボウリングを奪うことの罪の意識の方が大きいです。人工透析を始めてからはボウリングの回数は減っていますが、可能であれば、増やしても良いのではとさえ感じています。
もちろん、仕事の後にボウリングをすると、疲労も増して腎臓にも良くないと思いますが、その反面、足腰の丈夫さは保てますし、何よりも多くの仲間と楽しく交流できることがよいです。
つまり、精神的な満足度が高まって、プラス面も多いのです。
正直なところ、主人には大好きなボウリングをやれるところまでやってもらいたいと娘とともに願っています。
糖尿病腎症をかかえ、決して健康とはいえない状態であっても、くよくよせずに自分なりの“元気・長寿”を目指して積極的に生きているTさんの姿は、まさに感動ものです。そして、そんなTさんを見て、状況を前向きにとらえて支えていらっしゃるご家族。
Tさんのように元気な気持ちを維持できているのは、スポーツがもたらす典型的な効果のひとつではないでしょうか。
最近では、仰臥位の姿勢で透析を受けながら、マシンを利用して両脚の運動トレーニングを課しているクリニックも出てきているようです。一病息災の実現に向けた、健康支援・体力づくり支援がますます充実することを願い、これからも取り組んでいきたいと思います。
著者プロフィール:田中 喜代次(筑波大学大学院 人間総合科学研究科 スポーツ医学 教授)
1983年に肥満研究を、また1990年より民間医療機関にて虚血性心疾患・高血圧症など循環器疾患に対する院内運動療法をはじめ、現在も継続中。3ヵ月で体脂肪-8kg、ウエスト-8cm、活力年齢8歳の若返り効果を実現する生活習慣予防事業「スマートダイエット」は、好評を博している。2008年、中高年者の運動プログラム作成の功績に対して、秩父宮記念スポーツ医科学賞を受賞。2009年、筑波大学ベストファカルティメンバー賞を受賞。