糖尿病の治療薬
-第19回 糖尿病治療薬の飲み合わせ-その5
健康食品やサプリメント、効果・機能が認められたものとそうでないもの
今回から、糖尿病治療薬と食品との相互作用について見ていきたいと思います。
食品と言ってもさまざまですが、特に注意していただきたいのが、健康ブームの波にのって、いくつも売り出されている健康食品やサプリメントです。
健康食品やサプリメントについて「副作用もなく、どんなに摂取しても体に害になることはない」とお考えの方が多いかもしれませんが、決してそうではありません。
実際に、健康食品やサプリメントを摂取したことで健康被害が発生しているものもあり、厚生労働省のホームページにおいても、健康被害事例としていくつか公表されています。
薬との相互作用の観点から考えると、健康食品やサプリメントに含まれる成分によっては、薬の効き方を強めたりするなど薬の作用に影響があり、思わぬ健康被害が発生する場合があります。ですから健康食品やサプリメントを摂る際には、成分の作用をよく理解し、基礎知識を持った上で摂取することが重要です。
では、そもそも健康食品やサプリメントとは、どういうものを指すかご存知でしょうか。
実は、健康食品もサプリメントも、ともに法律上の定義はありません。
一般的に健康食品は「広く健康の保持増進に資する食品」の全般を指します。
健康食品はあくまでも食品であり、医薬品ではありません。
健康食品のうちでも、食事では十分に摂取できないビタミンやミネラルなど特定の栄養素や成分を補う食品がサプリメントです。栄養補助食品とも言われています。
こうした健康食品やサプリメント、お店などでさまざまなものを目にすると思いますが、これらは特定の機能があることを国が認めたものと、一般食品と同じ扱いになるものとに区別されます。
それが「保健機能食品制度」です。
これは、いわゆる健康食品・サプリメントのうち、一定の条件を満たした食品を「保健機能食品」と称することを認める表示の制度です。食生活の多様化により、様々な食品が流通する今日、消費者の方が安心して食品の選択ができるように適切な情報提供を行うことを目的として2001年に制度化されました。
「保健機能食品」は国の許可等の有無や食品の目的、機能等の違いによって、「特定保健用食品」と「栄養機能食品」の2つのカテゴリーに分類されます。
特定保健用食品は、通称「トクホ」と呼ばれています。
これは、ヒトを対象とした臨床試験で有効性と安全性が個別に審査され、個々の製品ごとに消費者庁長官の許可を受けたものです。
特定の目的に適している趣旨を商品に表示されています。
「特定の目的に適している趣旨」というと少しややこしい言い方ですが、例えば「血糖値を正常に保つことを助ける食品です」などの保健効果のことで、これは許可を受けたものでなければ広告やパッケージに表示することができません。
つまり、トクホ表示のあるものは、特定の保健の効果が科学的に証明されている食品ということです。
栄養機能食品とは、栄養成分(ビタミン・ミネラル)の補給のために利用される食品で、栄養成分の機能を表示するものを言います。
1日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分が、国の定めた上・下限値の範囲内にある場合に、その栄養成分の機能を表示することができます(個別審査は必要ありません)。
これは、トクホのようにマークはありませんので、パッケージに栄養成分の機能が表示されているかどうかで判断できます。
一見すると同じような健康食品やサプリメントでも、実はその効果を認められているものとそうでない一般食品の扱いになるものがあるということが、お分かりいただけたでしょうか。