糖尿病の治療薬
-第21回 糖尿病治療薬の飲み合わせ-その7
保健機能食品(栄養機能食品)-ビタミンと糖尿病の関係 1
前回に引き続き、栄養機能食品絡みのお話です。
糖尿病という疾患の観点で見ますと、糖尿病とビタミン・ミネラルとの関係は、非常に重要な関係にあります。今回は、糖尿病治療薬の飲み合わせのお話から少し脱線してしまいますが、栄養機能食品として認められているビタミン・ミネラルの中で、糖尿病と深く関わっている栄養成分について、詳しく見ていきたいと思います。
ビタミン
ナイアシンは、糖質・脂質・たんぱく質の代謝に関係するビタミンで、インスリンの合成に関与したり、コレステロールや中性脂肪を低下させることで、糖尿病の予防に有効にはたらきます。 | ||
パントテン酸は、糖質・脂質・たんぱく質の代謝に関係し、エネルギー変換に欠かせないコエンザイムA(CoA)の材料になるビタミンです。 また、パントテン酸は、善玉コレステロールを増やすはたらきがあり、その結果、動脈硬化の原因である悪玉コレステロールを減らして、動脈硬化の予防に役立ちます。 |
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ビオチンは、糖質・脂質・たんぱく質の代謝に関係するビタミンで、特に疲労物質の乳酸が糖にもどされる糖新生の反応時に補酵素として大切な役割をします。 ビオチンが不足するとたんぱく質の代謝が低下して、インスリンの生産が少なくなります。糖尿病の方の血液中のビオチン濃度は基準値よりも低いので、ビオチンを補給することによって、インスリンの分泌量が正常になると考えられます。 |
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ビタミンB1は、糖質の代謝に関係するビタミンで、不足するとブドウ糖をうまく代謝できなくなり、血糖値が上昇しやすくなります。 また、乳酸などの疲労物質が溜まりやすくなり、疲れや集中力の低下、食欲減退などを招きます。 ビタミンB1は、ブドウ糖の代謝を高め、さらに乳酸を除去するはたらきがありますので、糖尿病の乳酸が溜まりやすく疲れやすい体質を改善します。 |
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ビタミンB2は、脂質の代謝に関係するビタミンです。ビタミンB2が不足すると脂肪を燃焼できなくなり、肥満になりやすくなるため、動脈硬化を併発しやすくなります。ビタミンB2は、脂肪を分解することで糖尿病合併症のリスクを減らし、動脈硬化を予防するのに必要な栄養素です。 | ||
ビタミンB6は、たんぱく質や脂質の代謝に関係するビタミンで、糖尿病が原因で引き起こされる動脈硬化の予防にも効果があります。また、インスリンの分泌にはビタミンB6が関与し、不足するとインスリンの分泌量が少なくなると言われています。 | ||
ビタミンB12は、葉酸とともに赤血球の生成に関係するビタミンです。不足すると、赤血球を作る過程がうまくいかず、普通より巨大ではたらきの悪い赤血球ができ、体内に十分な酸素が供給されなくなります。そのため、悪性貧血になり、疲れやすい、すぐ息切れがする、めまいなどの症状がでる悪性貧血になります。 糖尿病の場合、食物からのビタミンB12が吸収されにくくなりますので、栄養機能食品などで補う必要があります。また、ビタミンB12は、神経の伝達を円滑にするはたらきがあるので、糖尿病の合併症のひとつである糖尿病性末梢神経障害(手足のしびれや痛みを伴う末梢性神経障害)の治療に広く用いられています。 |