糖尿病のあれこれ
-第3回 糖尿病と闘う格闘家?!
病気や人間の体について理解すること
糖尿病は、血液の中の糖分が異常に多くなってしまう病気です。
ところが糖分は体の細胞、つまり血管や臓器などにとって必要不可欠な栄養素なのです。
だったら糖分が多ければいいじゃないか、という質問がでてきますが、必要以上の糖分が血管に存在することはよくないし、実は細胞に入っていくはずの糖分が、インスリンの量や働きが弱いことで、血管の中に残ってしまい、細胞に十分入っていかないことも問題の一つです。つまり血管にとっても、その先の細胞や臓器にとっても、よくないことが起こっています。
だからといって、人間の体はよくできているから、そう簡単には悪くならないよ、と考えてしまうかもしれません。確かに通常は人間の体というものはうまくできていて、修復したり、悪いところをカバーしたりしますが、一度くずれると結構もろい面も有しています。悪循環という言葉を思い浮かべてもらえば分かってもらえると思います。一度悪循環のサイクルに陥ると、悪いことが重なって起きてくるのです。
また格闘技の選手などはガンガン体を鍛えて強くなりますが、それは筋肉や反射神経が鍛えられているだけで、癌にも脳梗塞にも強いわけではないのです。そこでみなさん、病気に対しての格闘技の選手になってください。そういったイメージを持てば、人間の脳はだまされますから、結構がんばれますよ。
もちろんこれは一つの考え方ですから、どんな方法やアイデアが自分に合っているのかは、いろいろ自分で考えてみてください。考えれば考えるほどいいですよ。人間は、脳を活動させることで生きているのですから。
次回も他のいろいろなやり方を考えてみなさんにお示ししていきます。ご期待ください。
著者プロフィール:石川 一彦(医師)
1992年大阪大学医学部卒業。大阪大学医学部附属病院、国立大阪病院、国立循環器病センター勤務、米国Yale大学留学等を経て、2005年より医療法人平心会 大阪治験病院に勤務。森ノ宮医療大学客員教授。専門分野は循環器内科、総合内科。