[糖尿病・食事対策] 食べたもので体はできる!
-第15回 食物繊維は、強い味方
しっかり効果を得るために、特性を知ろう
不溶性食物繊維
不溶性食物繊維の場合は、水分を吸着したり保持したりするため、数倍に膨れて体積を増します。それによって腸壁を刺激したりして腸の蠕動運動を促すので、便秘や痔の予防に効果があります。また有害物質を体外へ排泄する作用があるので、大腸ガンの予防に効果があるのです。
この不溶性食物繊維は、穀類や豆類に含まれます。実は、きのこや芋類には、水溶性食物繊維だけでなく不溶性食物繊維も含まれています。
これ以外には、皆さんもよく飲まれているココア、野菜ならパセリやモロヘイヤ、その他サプリメントで使われるえびやかにの殻も、実は不溶性食物繊維なのです。
水溶性と不溶性の両食物繊維は、植物性の食品に多く含まれます。
また、おもしろいことに果物の場合は熟していない果物には不溶性食物繊維が、熟した果物には水溶性食物繊維が多く含まれます。
こうした食物繊維の違いを知っておくことは、しっかり効果を得るためにも必要なことです。そして例えば便秘の状態によっても、食物繊維の取り方を注意する必要があります。ストレスなどで腸の動きが強すぎて起きる痙攣生便秘の場合は、不溶性食物繊維を摂るとかえって便秘がひどくなったりするのです。
スポーツ選手の場合は、何を食べたかだけではなく、その食べたものを吸収できるかどうかでパフォーマンスに差がつきます。
そういった意味では、善玉菌を増やして腸内環境を整えることは選手の強いカラダづくりにつながるだけでなく、良いコンディションをキープすることにもつながります。これからのスポーツ界でもますます注目の栄養素です。
不足しやすい栄養素でもありますが、皆さんの健康をキープするためにぜひ食物繊維の種類による特性の違いを知って、上手に取り入れていただきたいものです。
著者プロフィール:川端理香(管理栄養士/プロスポーツ栄養士)
WATSONIA(ワトソニア)代表。日本オリンピック委員会強化スタッフ、チーフ管理栄養士として2004年アテネオリンピックでは水泳の北島康介選手や全日本女子バレーボールチームを、2008年北京オリンピックでは全日本男子バレーボールチームをサポート。浦和レッズや東京ヴェルディ1969などのJリーグサッカーチームや、個人選手の栄養・食事指導のほか、「カラダが喜ぶ毎日ごはん(エクサボディ)」「10日間カンタンバランスメニュー(エクサボディ)」「勝てるカラダをつくる!10代スポーツ選手の栄養と食事(大泉書店)」など書籍の監修、食育をテーマに学校や地域での講演・セミナーも行う。現在、東日本大震災復興支援の一環として「部活をする子どもたちを応援しようプロジェクト」で協力をよびかけている。 公式ブログ[Happy Foods]