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Come On! 糖尿病教室

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-第12回 妊娠と糖尿病の関係

妊娠して、はじめて糖尿病を指摘されたIさん:(29歳)の場合

Iさんは妊娠7ヵ月です。身長162cmで体重はもともとスリムな体型ということもあり50kg、妊娠前に比べ3kg増で、体調面で特に気になるところはありませんでした。定期健診でも保健師さんに「いつもと変わりない」と話しましたが、診察時に先生からちょっと気になることがあるとお話がありました。

「尿検査の結果、尿糖がプラス(陽性)なので、血糖値が高い可能性があります。妊娠糖尿病の可能性があるので、ブドウ糖負荷試験をしてみましょう」と言われたのです。びっくりしたIさん、以前急性胃腸炎になったときに診てもらった病院に、糖尿病代謝内科があることを思い出し、早速紹介状を書いてもらいました。

CDEJ: Iさん、おはようございます。今日はブドウ糖負荷試験と言って、糖尿病の診断のための検査をします。まず、負荷前の採血をします。その後このソーダを飲んでいただいて1時間おきに2回採血をして血糖を測定します。

Iさん: はい、わかりました。それにしても、私は特に大食いもしていないし、そんなに太ってもいないのに何で糖尿病になるんだろう?って思うんですけど。それに妊娠糖尿病の治療は薬じゃだめだから、注射を打たないとだめなんでしょう?やだなぁ。

CDEJ: まずはこの検査の結果を見て医師が判断しますので、結果を待ちましょう。
ブドウ糖負荷検査で負荷後の血糖値が高ければ、妊娠糖尿病の可能性がありますが、その場合でも、いきなり注射で治療ではなくて、まずは管理栄養士から栄養指導があって、食事と運動療養から始めることになります。それでも血糖値が安定しない、かなり高血糖だった場合には、インスリン注射で血糖値を下げる必要があります。

Iさん: 体調管理には気をつけていたのに、どうしてこんなことになっちゃったんだろう?

CDEJ: 実は妊娠糖尿病の患者さんは、妊娠前には痩せ型の方にも多いんですよ。妊娠期には、女性ホルモンの影響と体重増加により、糖尿病を発症することがあります。最近、食生活で変化はなかったですか?

Iさん: ケーキやお饅頭は先生からも注意されていたので、食べなかったんですけど、そういえば、いただいた果物をかなり食べていました。あと麺類が多かったかなあ?

CDEJ: 果物には果糖が多く含まれているので、血糖を上げてしまいますね。後で主治医からくわしい説明がありますし、管理栄養士も具体例を挙げて説明してくれますから、疑問などあれば、どんどん聞いてみてくださいね。妊婦さんは赤ちゃんのことが心配で、でも皆さん、わが子のためと思ってすごくがんばって血糖コントロールをしていますよ。もちろん、医師も管理栄養士も一生懸命取り組みますし、丁寧に説明しますので安心してください。それに、あまり不安になるとおなかの赤ちゃんまで不安になってしまいますよ。

Iさん: そうですね、赤ちゃんのために、がんばらないと!

検査の結果、空腹時血糖値は86mg/dL(正常値:92mg/dL未満)と正常範囲でしたが、ブドウ糖負荷1時間後の血糖値が224mg/dL(正常値:180 mg/dL以下) 、2時間値が178mg/dL (正常値:153mg/dL以下) と、いずれも高値を示していました。
Iさんは妊娠糖尿病と診断され、まずは食事・運動療法をしながら、自己血糖測定を行い、血糖が安定しないときにはインスリンの導入を検討することになりました。

 

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