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Come On! 糖尿病教室

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-第12回 妊娠と糖尿病の関係

初期は食事・運動療法、妊娠中期からインスリン療法を追加するケースが多い

妊娠後に糖尿病が発症「妊娠糖尿病」

妊娠糖尿病とは、妊娠中に発生したか、または妊娠後はじめて耐糖能低下が認識された場合のことです。ちなみに、妊娠糖尿病と診断された妊婦さんには、分娩後に改めて耐糖能の再評価を行いますが、そのほとんどの場合が分娩後には耐糖能異常は改善することが多いです。

また、Iさんのように食事・運動療法をして自己血糖測定のみで血糖コントロールを行い、インスリン療法の必要のない場合もあります。理由として、妊婦は年齢も若く、食事制限もきちんと守る場合が多いからです。

しかし妊娠中は、妊娠の時期によってインスリンの必要量が変化します。妊娠初期にはインスリンは効きやすくなり(インスリン感受性)、妊娠中期以降にはインスリンは効きにくくなり(インリン抵抗性)、血糖値が上昇しやすくなるという傾向があります。
従って妊娠初期には食事・運動療法のみで治療をしていた場合でも、妊娠中期以降にインスリン療法を開始するケースもあります。
なお、これは糖尿病合併妊娠の場合も同様で、妊娠前からインスリン療法を行っていた妊婦さんは、妊娠中期以降にはインスリン量を増量します。

妊娠糖尿病では、インスリンの種類にも注意を払う必要があります。速効型インスリンや中間型インスリン、超速効型インスリンは妊娠中の使用に関して安全性が確認されていますが、持効型インスリンは製剤によっては、妊娠中の使用に関して安全性が確認されていないものもあるのです。
 

経口血糖降下薬を服用せず、インスリン治療を行うのはなぜ?

インスリンは胎盤を通過しませんが、経口血糖降下薬は胎盤を通過するため、胎児に影響があります。従って、妊娠中の血糖コントロールにはインスリンを用います。妊娠以外にも、経口血糖降下薬を使用できない場合があります。

妊娠糖尿病の場合、胎児や母体にさまざまな影響があるため、通常の糖尿病より、かなり厳しく血糖コントロールされます。では具体的に、妊娠糖尿病による高血糖状態は胎児や母体にどう影響するのか見ていきましょう。

ケトーシス 糖尿病でインスリン不足や働きが悪い状態、つわりなどで飢餓状態のとき、体は血糖からエネルギーを得られない状態にあります。すると、代わりに体内の脂肪を糖に変えてエネルギー補充し(糖新生)、このとき、ケトン体と呼ばれる酸性の物質が発生します。これが蓄積されて血中濃度が高い状態をケトーシスといいます。

ケトアシドーシス 上述の状況で血中に蓄積されたケトン体が増えると、ケトン体は酸性の物質のため体内は酸性(アシドーシス)に傾いていきます。さらに過剰に蓄積されて血液が急速に酸性に傾いた状態が、ケトアシドーシス(ケトン体によるアシドーシス)です。ケトアシドーシスになると、意識障害に陥ります。

 

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