スマートダイエットで行こう
-第1回 活力年齢が健康のカギ
糖尿病患者の場合は?
糖尿病患者の場合、太っていても痩せていても実年齢よりも活力年齢が高い(老いている)という結果が出ています。その理由は、太っていて、血圧・血糖値・中性脂肪が高く、低体力傾向にある例が多いこと、また、痩せていても低体力傾向で、血圧なり血液検査値が標準域を外れている傾向にあるからです。
もちろん、個人差が大きく、すべての糖尿病患者さんの結果が悪いわけではありませんが、実に8~9割の人が活力年齢は実年齢を上回ります。
では、生活習慣を改善することで活力年齢はどのくらい変化すると思いますか?
生活習慣が非常に悪い人(過食、アルコールの飲み過ぎ、運動不足、高度肥満など)の場合、3ヵ月のスマートダイエットとスマートエクササイズで体重は6~10kg減り、活力年齢は10歳ほど若くなります。
短期間に10歳も若くなることに違和感を抱く人もいますが、以下の説明で納得されるようです。つまり、50歳で65歳並の検査値や体力水準にあった人が、3ヵ月後に55歳並の数値に改善したということにすぎず、それでもまだ5歳分ほど改善の余地が残っているわけです。
持久力(酸素摂取量)や俊敏性、血圧値、コレステロール値などが10年前の状態にもどったということで、生活の見直しで体重を落とし、3ヵ月も運動を習慣化すれば、数値が大きく動くのは不思議ではありません。
あなたがもし糖尿病と診断されているのであれば、遺伝的な素因以外に生活習慣を修正する余地があると思います。適切な治療を受けるとともに、一念発起して、食生活、運動、休養(睡眠、入浴)、メンタル面(ストレスコントロール)など、自分で取り組めるところから修正を開始しましょう。
そのためには、自分で脳の健康スイッチをOFFからONに切り替えることが肝要です。切り替えれば、確実に効果が生まれます。次回からは、糖尿病患者や予備軍のための運動、食生活、レシピ、日々奮闘している実例についてお話したいと思います。
著者プロフィール:田中 喜代次(筑波大学大学院 人間総合科学研究科 スポーツ医学 教授)
1983年に肥満研究を、また1990年より民間医療機関にて虚血性心疾患・高血圧症などの循環器疾患に対する院内運動療法をはじめ、現在も継続中。3ヵ月で体脂肪-8kg、ウエスト-8cm、活力年齢8歳の若返り効果を実現する生活習慣予防事業「スマートダイエット」は、好評を博している。2008年、中高年者の運動プログラム作成の功績に対して、秩父宮記念スポーツ医科学賞を受賞。2009年、筑波大学ベストファカルティメンバー賞を受賞。