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糖尿病の治療薬

-第13回 ジェネリック医薬品-その2

ジェネリック医薬品の普及率

今回は、ジェネリック医薬品の普及率やジェネリック医薬品のメリット・デメリットについて触れていきます。

世界のジェネリック医薬品のシェアを見てみると、欧米での普及率は60%以上もあるのに対して、日本は20%程度にとどまっています。
これは、欧米と日本のこれまでの医療政策や医療制度の違いに大きく影響しています。

日本はご存じの通り、全国民が公的医療保険に加入する国民皆保険制度です。この制度のおかげで、だれでも・必要な時に・必要な医療を受けられ、同じ医療内容であれば国内のどの医療機関で受診しても費用はほぼ同額で・医療機関を自由に選ぶことができます。こういった医療の平等性という環境により、国民の医療費のコスト意識は薄いといえます。

では欧米ではどうかというと、例えば米国を見てみると、日本の国民皆保険制度のような公的医療保険制度がなく、国民の多くは民間の医療保険に個人で加入しています。民間の保険会社は、より多くの加入者を獲得するために、できるだけ安い費用で医療サービスを提供しようとします。患者自身もまた、自分の支払う医療費や薬剤費を抑えるために保険会社を選ぶという、常に医療費のコストを意識する環境にあります。

このような医療費のコスト意識の下、米国では民間保険会社はより安い費用での医療保険の提供の手段としてジェネリック医薬品の使用を奨励していますし、患者自身もより安価なジェネリック医薬品の処方を希望します。「同じ成分で、同じ効き目、品質も同じであれば、より安い薬がいい」といった合理主義的な考えも米国でのジェネリック医薬品の普及を促進しているといえるでしょう。

そして、「代替調剤」という制度もジェネリック医薬品の普及率をあげた要因のひとつとして考えられます。代替調剤とは、患者が希望すれば指定された医薬品の替わりに薬剤師が同一成分の医薬品に変更して調剤できる制度のことをいいます(ただし、医師が処方箋に「代替医薬品への調剤変更不可」と明示した場合は、代替調剤はできません)。

米国では昔からこの代替調剤が認められていましたが、日本でこれが認められたのは医療制度改革にともない2006年4月になってからと、法律で認められた時期の違いも日本と米国での普及率に影響しているでしょう。

さらに、米国ではFDA(食品医薬品局)が、ジェネリック医薬品の品質を保証し、選定の際の公的なガイドブックとして「オレンジブック」を発行し、ジェネリック医薬品の使用を促進するための積極的な取り組みが国レベルで行われ、ジェネリック医薬品の普及に貢献しています。

このように、米国では患者は医師により安く手に入るジェネリック医薬の処方を希望することや薬剤師にジェネリック医薬品への変更を希望することが常識となっています。欧米では、新薬(先発医薬品)の特許が満了したわずか1ヵ月後に市場の約80%がジェネリック医薬品に切り替わった医薬品があるほどです。

ところが日本では、一般の患者のジェネリック医薬品の認知不足だけではなく、医師や薬剤師であっても情報不足や品質に対する不安があるという状況です。
ジェネリック医薬品の品質保証は、気になるところだと思いますが、ジェネリック医薬品も通常の新薬と同様に、世に出ているものは厚生労働省に承認されたものです。

先発医薬品との生物学的同等性試験という治験(臨床試験)で、医薬品の有効成分の血液中の薬物濃度を比較して血液中の薬物濃度が最高になる濃度や時間などが同じような推移を示すかどうかなど、厚生労働省が定めた諸々の基準をクリアすることで品質保証が担保されています。

しかし、厳密にいうと、実際の治療効果が同等かどうかまでを見ているわけではないので、医療関係者の間では、品質に対する不安が払拭されないというのが現状のようです。

そういった不安を解消するために、厚生労働省では、2007年に「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」を策定し、その中の取り組みのひとつとして2008年度から「後発医薬品品質確保対策事業」を実施し、国を挙げて品質の保証に取り組んでいます。

2009年度の調査結果によると、調査した経口糖尿病治療薬のうち先行医薬品と後発医薬品(ジェネリック医薬品)のすべてが規格に適合したと報告されています。

 

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