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糖尿病の治療薬

-第13回 ジェネリック医薬品-その2

ジェネリック医薬品のメリット・デメリット

それでは、次にジェネリック医薬品のメリットとデメリットを見ていきましょう。

ジェネリック医薬品を使用するメリットは、やはり一番は、価格が安いということでしょう。ジェネリック医薬品は、開発期間や開発費用の兼ね合いから新薬(先発医薬品)よりも安価で使用することができます(前回参照)。

さらに、ひとつの先発医薬品をもとに、多くの製薬会社がジェネリック医薬品を製造するため、価格競争が起きやすく、そうなるとさらに安い価格が設定されます。一般的には先発医薬品の約半額と、患者にとって最大のメリットといえるでしょう。特に糖尿病などの生活習慣病で薬を毎日飲む人にとっては、年間の薬代が少なく済んでうれしい話ですよね。

また、視点を個人の財布から国に動かしてみると、日本の医療費は年々増加の一途をたどっているという現状があります。
もしも今、ジェネリック医薬品のある先発医薬品をすべてジェネリック医薬品に切り替えたら、年間約1.3兆円の医療費が節約できるといわれています。

医療費の国庫負担が減ることで、ほかの医療に予算を使用でき、医療行政の質が向上するなどの可能性もあります。そのため国も医療費抑制のためにジェネリック医薬品の普及政策を進めています。

また、ジェネリック医薬品は、有効成分のみが先発医薬品と同一で、その他の成分は異なります。ということは、たとえば先発医薬品が苦い・飲みにくい形状だった場合、添加剤などを変更することで、先発医薬品よりも飲みやすいものに改善されることもあるということです。

もちろん、メリットばかりではありません。ジェネリック医薬品を使用するデメリットとして、ジェネリック医薬品の品質の問題があります。

先に述べたようにジェネリック医薬品は、先発医薬品のすべての成分と完全に同じではなく、製造過程も異なりますので、効果や副作用が同じとは言い切れないところがあります。たとえば貼り薬であれば、貼り心地が違うとか、皮膚がかぶれるということもあるわけです。

また、ジェネリック医薬品が一部の医薬品に限られていることも、実はデメリットとして挙げられます。特許期限が切れた先発医薬品がすべてジェネリック医薬品として開発されているとは限りません。製造されていなければ、当然切り替えることができません。

それとは逆に、ひとつの先発医薬品に対して複数のジェネリック医薬品が製造されているということもデメリットのひとつです。保管スペースの問題で、多くのジェネリック医薬品を置くことができないため、ジェネリック医薬品に十分に対応できないという病院や調剤薬局も多いのです。

そのため患者が一番安いジェネリック医薬品を希望しても、取り寄せる日数を待つか、そこで取り扱っているものの中から選ばざるを得ないなど、なかなか希望通りにはいかない場合があります。

さらに、利益率の低いジェネリック医薬品は、製薬会社の判断によって突然製造中止されることも考えられます。そういった場合を懸念し、安定供給の面に不安を感じている医師も少なくありません。

いかがでしょうか。ジェネリック医薬品を使うかどうかの最終的な選択権は患者さんにあります。こういったジェネリック医薬品のメリット・デメリットを十分に考慮し、医師や薬剤師とよく相談のうえで選択していただければと思います。

次回は、糖尿病治療薬を一例として挙げ、薬剤費の自己負担額を先発医薬品とジェネリック医薬品で比較してみたいと思います。

 

著者プロフィール:木元 隆之(薬剤師)
1998年インクロムの提携医療機関に入職。約7年の治験コーディネーター(CRC)の経験を経て、現在、治験事務局長を務める。

 

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