糖尿病教育入院・体験記
-第8回 外泊で見えた課題
教育入院6日目(外泊1日目)。ぶち当たった壁は
今日の朝食後から1泊2日の外泊となるため、朝の空腹時血糖は簡易測定で行った。やった!とうとう血糖値が80台に突入した。外泊を控えて、これはなかなか良い出だしだ。
しかし、そんな幸先の良さもどこへやら。病院から駅までの道中、街の看板を見つけてはついついモーニングや朝マックしたいなあと考えてしまう自分。
もちろん「我慢、我慢」とつぶやきながら、素通りした。……が、「ならば、お昼ご飯でも食べて帰ろう」と道すがら飲食店のメニューを食い入るように見つめてしまう始末。
しかし、どう考えても1,000Kcal以上と思われる内容にため息をつき、結局何も食べられないまま自宅に戻った。これを強引に前向きにとらえるなら、メニュー内容を見て、おおよそのカロリーがわかるようになったことは、教育入院で受けた講義の賜物だ。
それにしても、入院中の食事には味・量共に特に不満はなかったし、間食をしたいとも思わなかったのに、一旦解放されると考えるのは食べることばかり。
前日に受けたばかりの「外泊中の過ごし方」の講義では、この外泊中に欲求に負けて暴飲暴食してしまう人もいるらしいと言っていたが、何となくわかるような気がする。
講義を聴いている限りでは、自分は大丈夫だろうと絶対の自信を持っていたはずなのに、自宅までの道のりだけで、思った以上に誘惑との戦いだった。
そんな葛藤を経て、ようやく帰宅。しかし、家族の顔を見た途端、食事療法にやる気満々だった自分に戻ることができた。あぁ、家族って偉大。
さあ、この二日間をどう有意義に過ごそうかと考えている間に昼食の時間が来ていた。
妻は私の気持ちを察してか、教育入院中にはほとんどお目にかからなかった肉料理を(少量ではあるが)用意してくれていた。
カロリーを計算してみると600Kcal程度で、栄養バランスも問題なく、それでいて満足感も得られる内容で、妻なりに色々と考えてくれたのだろう。感謝、感謝。病院帰りに食べなくて、ほんとに良かった。
昼食後は、とりあえず家の近くの河川沿いにそって散歩することにした。
河川沿いといっても、たいしてきれいじゃない川に沿って変哲もない道が続いているだけだ。自宅の周りは、病院周辺とは違って、整備された遊歩道も近くに公園も一切ない。
病院周辺は、いくつかあるコースでおおよその時間や歩数を計画的に立てられて、景色もよく、同じように散歩している人も多くいて、たとえ1時間の散歩でもそれほど苦にはならなかったが、今はただ歩くだけといった感じで、10分もすると飽きてきた。それでもここで止めてはいかんと心を鬼にして1時間程歩いた。
散歩から戻って尿糖を測定すると、これまで昼食2時間後は常に(+2)であったのが、初めて(+)と若干の改善が見られた。嬉しい。退屈な散歩に耐えたことへの、せめてもの救いだ。
夕食もまた、魚・野菜中心のメニューで、満足感を得られる量で、かつ600Kcal以下になるようカロリー計算されたものを用意されていた。夕食にも満足し、夕食後の散歩に出かけた。
散歩ルートには昼食後の散歩ですでに飽きがきていたことに加えて、街燈はまばらで、ひとりで歩いていると変質者に間違われそうという問題があった。それでも無理矢理40分程歩いたが、これでは明日から積極的に散歩しようという気にはなれない。これからつづく長い糖尿病との闘いの、初っ端から壁にぶち当たった気分だ。
糖尿病の運動療法では、散歩・サイクリング・ジョギング・その他スポーツが推奨されている。散歩がダメとなると、元々ジョギングは大嫌い・スポーツは嫌いではないが毎日気軽にできるものではないのでこれらは却下。消去法で、残されたのはサイクリング。明日はママチャリでちょっと遠くまで散策してみようかと思う。