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糖尿病教育入院・体験記

-第10回 今後の治療方針が決まる

運動療法の効果的なタイミング


このコラムは、医療機関に勤め糖尿病の知識が十分あるにもかかわらず、糖尿病教育入院に行くことになってしまった「もっち」こと私の体験記です。 (前回を読む)


糖尿病は、血液中のブドウ糖(血糖)が慢性的に多くなっている疾患で、血糖値が高い状態が続くとやがて糖尿病性の合併症が現れます。
運動することで、血中のブドウ糖を消費させて血糖値の上昇を抑えることができるので、糖尿病やその予備軍になると運動をすすめられるのはそのためです。

ところでこの運動療法は、やり方によっては効果に差があることはご存知ですか。

一般的に運動療法は、食後1時間後に行うことが推奨されています。
これはどうしてかというと、基本的に血糖値は、食事前は低く、食後1~2時間で最高値に達するという特徴があるからです。

糖尿病の悪化を抑えるため、可能な限り血糖値の高い状態を回避するには、血糖値の比較的低い食事前より、最も血糖値が高くなる時間帯に運動を行う方が効果的であるのは言うまでもありません。

つまり、たとえ同じ運動を行っても、どのタイミングで行うかによって効果に差が出てくるわけです。

ではここで、このコラムの筆者もっちの入院中の尿糖と一日血糖結果を見てみましょう。



この結果だけを見ると、糖尿病があたかも改善しているように見えませんか。

実はこれも(もちろん若干の改善はあるかもしれませんが)、入院中の運動量や運動した時間帯に大きく左右されているのです。

入院当初の数日の尿糖は昼食2時間後は(+2)、夕食2時間後は(+)がつづき、最終的には(-)になっています。
これは各食事の1時間後に散歩を積極的に行ったからであって、決してインスリンの分泌量が劇的に増えたわけでも、インスリンの感受性が劇的に上がったというわけでもありません。

その証拠に、入院7日目(外泊2日目)の夕食2時間後の尿糖に(+2)が認められたのは、この日は夕食後に散歩をしなかったからです。

つまり、食後の最も効果の現れる時間帯に絞って運動を行うことで、血糖値のコントロールが調整できるということです。

このような血糖値のコントロールの結果と、もっちの場合、比較的糖尿病を発症してからの期間が短いこと、すい臓もある程度機能しているという状況から、「食事療法と運動療法を行うことで血糖コントロールの調整が可能」と判断され、薬物治療は不要となったわけです。

ただし、薬物治療を行っている患者さんの場合は、服用している薬剤(特にインスリン療法)によっては運動療法することにより低血糖を発症する可能性が増大します。ですから、運動療法は自己判断で行わず、主治医の指導の下できちんと管理することが大切です。
 

 

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