このコラムは、医療機関に勤め糖尿病の知識が十分あるにもかかわらず、糖尿病教育入院に行くことになってしまった「もっち」こと私の体験記です。 （前回を読む）

このコラムも今回で最終回。そこで、ここでは教育入院の基本的なことをQ&Aでご紹介します。

Q1．教育入院を行っている医療機関はどうやって見つけるの？
A1．主治医から紹介してもらう他、インターネットの検索エンジンで「教育入院」や「教育入院＋お住まいの都市名」などで検索すると情報が入手できます。

Q2．教育入院にはどうやって申し込むの？
A2．主治医に相談するか、ご自身で糖尿病教育入院をしている医療機関を調べ、その医療機関の教育入院窓口へ連絡して申し込みます。

●糖尿病の治療で通院している場合
まずは主治医に教育入院参加の意向を伝えて相談しましょう。
かかりつけの医療機関が教育入院を実施している場合はその医療機関に申し込み、教育入院を実施していない場合でも実施している医療機関の紹介を受けたり、ご自身で調べた医療機関があるなら、それを伝えて紹介状を用意してもらってもよいでしょう。

※主治医によって教育入院に対する認識が異なりますので、教育入院を希望しても不要とアドバイスされることもあります。

●職場や市町村の健康診断で指摘されたが、通院していない場合
インターネットなどで教育入院を実施している医療機関を調べ、その医療機関の教育入院窓口へ連絡して申し込みます。

Q3．教育入院の医療機関への受診（初診）はどんな感じ？
A3．初診時には、紹介状（ある場合）、臨床検査結果（病状の推移がわかるもの）、服用中の薬（過去の薬物治療内容がわかるもの、服薬日誌など）を持っていきます。

初診時の検査は、基本的には直近の検査結果があれば尿検査などの簡易なもの以外は行われません。逆に検査日から期間が開きすぎたり検査結果の項目が不足していたりする場合は、当日に改めて検査する必要があります。

診察では、持参した検査結果・それまでの治療内容・当日の検査結果をもとに診断されます。教育入院が必要と診断された場合は、主治医から教育入院に関する説明がなされます。

また、もし現状では教育入院する必要はないと主治医が診断しても、ご自身が教育入院を希望される場合、断られるケースはほとんどありません。

Q4．教育入院の日程はどのくらい？
A4．教育入院の期間は実施している医療機関により違いますが、一般的には１週間から２週間程度です。

Q5．教育入院期間中はずっと病院内にいなくてはならないの？
A5．教育入院中は、講義や検査などの決められたスケジュール以外は外出も自由です。また医療機関によっては、入院期間中の土日は外泊し自宅で自己管理という場合もあります。

Q6．教育入院の参加や日程はいつ決めるの？
A6．主治医から教育入院を勧められても、その場ですぐに返事をする必要はありません。家族や職場の都合も考えた上で、参加するかしないか、また入院をいつからにするかをじっくり検討してから予約しても問題ありません。

これは、教育入院自体は治療を目的としたものではなく、糖尿病の病状も短期間で大きく変わるものではないからです。緊急を要する病状の場合は、教育入院どころではなく、通常の入院を勧められます。ですから、基本的には即教育入院という必要にせまられるものではありません（もっちのように「一日も早く！」といわれることもあります）。

Q7．教育入院にはどのくらいの費用がかかるの？
A7．入院期間によって費用は変わりますが、一般的には健康保険を適用した上で、一日当り１万円程度が目安のようです。ただし、これはプログラム通りの検査で済んだ場合ですので、もしも糖尿病や合併症の進行具合によって特別な検査が必要になった場合は、その分の費用が増えることとなります。

Q8．教育入院で確実に糖尿病がよくなるの？無駄にならない？
A8．教育入院すると徹底した食事と運動により、確かに体重減少などの効果は大なり小なり認められます。でもそれは一時的なことにすぎません。

教育入院の本来の目的は治療ではありません。糖尿病に関する知識・理解を深めること、ご自身の病状（糖尿病のみならず合併症の進行具合も）を把握してどのような治療が必要なのかを認識することで、一生つづく糖尿病の治療に取り組む動機づけすることが目的なのです。

ですから教育入院によってどのくらい改善が見えたかでななく、真剣に糖尿病と向き合って退院後も徹底した自己管理を行えるか否かが肝心で、教育入院が有益か無駄になるかを決めるのは、あなた次第です。