糖尿病教育入院・体験記
-第12回 教育入院から1年
教育入院から1年。生活の変化、気持ちの変化
糖尿病に対する意識は、教育入院を修了して1年が過ぎた今も変わらず持ち続けられている。そしてこれは今後も変わることがないと思う。
とにかく食べるものについては常にカロリーや成分に目が行くようになった。
外食の場合は、総カロリーを瞬時に計算し(最近はメニューにカロリー表示されている場合が多いので助かる)、食材を購入するときも裏の栄養成分表を見てカロリーや成分を必ず確認するようになった。
体重も減った。お腹もへっこんだ。
現在は約60kg前後と理想体重を維持し、ウエストは一番太っていた時期に比べて10cm以上も減った。会う人会う人から痩せたと言われ、それがモチベーションを維持できている要因かもしれない。
この1年、毎日体重を測る習慣をつけたのも良かった。
少しでも増えると、食事・運動量を調整して理想体重を維持できている。
一旦痩せるともう元の体型には戻りたくないという気持ちも働き、街で太った人を見ては以前の自分を思い出し、鏡があれば映った自分を観察するようにした。
結婚して10年以上経つが、実は結婚当時は今の体型に近かった。それが結婚して半年を過ぎたあたりから、たった1年で10kg以上も増えてしまい、以来妻からはずっと詐欺やと言われてきた。しかし、今や結婚当時の体型を取り戻すことができ、やっと詐欺師呼ばわりされなくなった。
しかし新たな弊害も発生した。
なんと、今まで持っていた服がぶかぶかになり、特にズボンはベルトをしないとストンと落ちてしまう程で、私服やスーツなど全部新たに購入するしかなかった。
妻は喜んでいいやら悲しんでいいやら複雑そうで、「買い替える以上、これからこの体型を維持すること」を厳命されてしまった。
そして、この洋服の買い替えにかけた費用も、万が一太って着られなくなったら、私の小遣いから差っ引かれることとなった。
そこまで太るということは、当然運動もしなくなった結果なわけで、そうなるとトレーニングルームにかけた費用と併せて何十万円という金額が私の小遣いから引かれることになる。これでは否が応でも今の体型を維持するしかない。妻よ、素敵なプレッシャーをありがとう。
教育入院中、担当の方からくれぐれも2度目の入院は無いようにと念を押されていた。
同じグループには2、3度目という人が複数いて、彼らから話を聞いていると、退院後半年くらいまでは目標通りできていても、やがて挫折して元通りの生活に戻ってしまって、結局糖尿病を悪化させて、教育(再)入院する羽目になったという。
誰でも退院直後はやる気満々で、ある程度は続くが、結局のところストレスになるような無理なものは決して長続きしない。いかに継続していくのかが重要なのだ。
かく言う私も、継続できることを加味して目標を立てたつもりであったが、実際には守れている項目と守れない項目とははっきり分かれてきているのは事実。
それに退院3ヵ月後の検査結果があまりにも良かったため、少し油断してしまったし……。
今のところ、検査結果が良好であるため、しばらくはこの調子で継続していこうと思う。
何より家族の協力(監視?)、それから、もう以前の体型には戻りたくない(小遣いも減らされたくない)という気持ちがあるので、糖尿病との共同生活を円滑に過ごすことができるのではないかと思っている。
さて、今回でこのコラムもついに最終回を迎えた。私の教育入院体験が、皆さんの一助になることを願って、最後に一言。
「教育入院という、このたったの10日間が、これからの糖尿病人生を良い方向に大きく変えてくれるかもしれませんよ。」