スマートダイエットで行こう
-第7回 効果的な運動の常識が変わる?-その2
パラダイム転換-その4
(5)高血圧の場合、運動療法は禁忌? -答え:できる運動もある
自宅で血圧を測定する時より、健診などで血圧測定を受けた時の方が、普段の値よりもかなり高いということはないでしょうか。筆者も大学内で研究の一環として血圧測定を行うことが多いですが、その場合でも自宅での測定値よりも明らかに高いという声をよく聞きます。
どうして血圧値に大きな違いが出るのでしょうか?原因として以下のことが考えられます。
原因が何であれ、血圧値が高い場合には運動が禁止されることは多いです。その指示は医師が出しますが、保健師や看護師が出すこともあります。運動指導を受けることを楽しみにしてきた人の多くは納得せず、不満をあらわにすることも珍しくありません。
また、融通の利かないことに立腹して(おそらく血圧をさらに高めて)帰途につき、そして二度と健診や指導を受ける場に参加しないということも少なくないでしょう。
もちろん血圧が高い場合、確率は低くても事故リスクが相対的に高いことは事実です。しかし、座位や臥位でのストレッチ、負荷のない状態(0ワット)での自転車こぎや軽い歩行など、できる運動はあります。まずは、こういった軽い運動をして再度血圧を測定するとよいでしょう。数分後に測定すると、血圧が下がっているケースが多いのです。
もし血圧が下がっていなくても安静時と同じ程度であれば、体調の変化に十分留意しながら、軽い運動をする程度ならば可能でしょう。指導者の立場からすると、運動をさせない(禁忌令を出す)のは事故防止のためだとはいえ、事故の起きる確率は極めて低く、安易に禁忌令を出すことを専門職が繰り返せば、例えば20代の人が定年を迎える約40年の間の運動の機会を制限(剥奪)されることになり、不必要なストレスを与えてしまうことにもなりかねません。
心臓突然死の予防に照準をあてて運動をとらえることが多いですが、その無益さ(パラダイム転換の必要性)についても科学的に検討していかなければならないと思います。