スマートダイエットで行こう
-第7回 効果的な運動の常識が変わる?-その2
パラダイム転換-その6
(6)筋肉痛が起きる運動=やりすぎで危険?-答え:運動が久しぶりなら自然なこと
デスクワークの残業が続いたり、旅行からもどったりと、運動をするのが1~2週間ぶりだった場合などは、筋肉痛が起きるのがふつうのことです。
それを「運動のやりすぎ(負荷のかけすぎ)=危険」と決めつけるのは、短絡的です。筋肉痛に関する解釈には、このような注意が必要です。一般に体力がある人ほど、若い人ほど、一過性に発揮できる筋力(筋パワー)が大きいため、その後遺症は一時的に残ります。
虚弱高齢者、低体力高齢者、急性期の患者には筋肉痛が起きにくいですから(起きるような運動をさせませんから)、もし筋肉痛を起こしたなら、その人はまだ若い、元気といえるのです。
スマートダイエットで、若々しく行こう!
生涯を通して健康なままでありたいという願望は、おそらく人種も時代を問わず万民が共有するものでしょう。では、その実現のためにはどうしたらよいのでしょうか。
良好な睡眠と良好な栄養摂取のもとで、運動を大いに愉しみ、その後に入浴してワインやビールが好きなら軽くそれをいただきながら、あるいは音楽を鑑賞しながら、心の平安を感じ取って自然に眠りにつくとよいでしょう。
長寿者の多くは、このような日常生活の習慣化により、着々と忍び寄る老化を素直に受け入れながらも、生きる術を自分なりに習得しているわけです。そして、上手に生きる術を習得した長寿者のほとんどは、暦年齢のわりに活力年齢や体力年齢が若いのです。
このコラムの読者の皆さんも、ぜひ自分の身体・生活に向き合い、取り組んでみてください。そして肥満症ならば、ひとりでも多くの人が「体脂肪-8kg、ウエスト-8cm、活力年齢8歳の若返り」を感じていただけたら幸いです。
著者プロフィール:田中 喜代次(筑波大学大学院 人間総合科学研究科 スポーツ医学 教授)
1983年に肥満研究を、また1990年より民間医療機関にて虚血性心疾患・高血圧症など循環器疾患に対する院内運動療法をはじめ、現在も継続中。3ヵ月で体脂肪-8kg、ウエスト-8cm、活力年齢8歳の若返り効果を実現する生活習慣予防事業「スマートダイエット」は、好評を博している。2008年、中高年者の運動プログラム作成の功績に対して、秩父宮記念スポーツ医科学賞を受賞。2009年、筑波大学ベストファカルティメンバー賞を受賞。