[糖尿病 運動] セーフティウォーキングのススメ
-第23回 肩甲骨の動きが歩行をスムーズに
肩甲骨がよく動く=腕振りがスムーズに、歩行もスムーズに
ヒトは、350~400万年前から二足歩行をするようになったとされています。そして、上肢を自由に動かせるようになったことで、「道具を扱う」「火をおこす」といった手を使うさまざまな動作を身につけてきました。
さて、腕は360°いろんな方向に動かすことができるのでとても便利です。実は、この動きは腕だけで行われているのではなく、腕が付いている根元の肩甲骨も協調して動いています。例えば、腕を頭上に挙げる動作では、腕(上腕骨)と肩甲骨の動きが連動して行われています(図1)。
腕を動かす上肢の運動では、基盤となる肩甲骨の動きが悪くなると、動かせる範囲が狭くなり、滑らかな動作が損なわれます。また、肩甲骨の動きが悪い分、腕を余計に動かすことになり、腕と肩甲骨のジョイントである肩関節を痛める原因にもなります。
歩行時の腕振りは、下肢の動きに連動しています。前回は、下肢の根元である骨盤を交互に前方へ出すヒップスイング歩行について解説しましたが、上肢の基盤である肩甲骨も交互に前方へ動かすことによって腕振りがスムーズになり、スムーズな歩行につながるのです。
図2は、頭上から見た胸郭・背骨・肩甲骨・腕の略図です。左腕が前に、右腕が後ろに振れているときには、左の肩甲骨は背骨から離れて前方に動き、右の肩甲骨は背骨の方に近づいて後方へ戻っています。