糖尿病教育入院・体験記
-第1回 糖尿病教育入院って?
はじめに。「糖尿病教育入院」ってなんでしょう?
このコラムは、医療機関に勤め糖尿病の知識が十分あるにもかかわらず、糖尿病教育入院に行くことになってしまった「もっち」こと私の体験記です。
入院と聞くと「重症で日常生活が困難なため、治療のために入院する」と思われがちですが、糖尿病教育入院はそういった類の入院ではありません。
現在、日本では食生活の欧米化や交通手段の普及による運動不足などによって、糖尿病患者が年々増加する傾向にあります。糖尿病は、完治することのない病気のため、一度かかると一生涯付き合っていかねばなりません。しかし、血糖のコントロールがきちんとできていれば、健康な人と何ら変わらない生活を送ることが可能な病気でもあります。
糖尿病教育入院とは、糖尿病の治療を目的としたものではなく、糖尿病と診断された患者が、一生糖尿病と付き合っていくための動機づけとして考えられています。
糖尿病がどんな病気か、放置するとどうなってしまうかなど糖尿病について深く理解し、自分の症状がどの程度なのか、どのような治療が必要なのかなどを自覚することで、合併症の発症・進展を防ぎ、治療に取り組むきっかけにする、それが糖尿病教育入院なのです。
糖尿病教育入院は、糖尿病治療を専門とする多くの医療機関で実施され、入院期間は1週間から2週間程度、10名前後のグループで行われるのが一般的です。
医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師、理学療養士がチームを組み、こうした専門家の講義を中心に、それぞれの患者にあった食事療法・運動療法や、薬物治療が必要な患者には薬物治療の指導が行われます。
また、患者自身がどのようなタイプの糖尿病なのか、現在の合併症の進行状況を確認するため、患者の状況にあわせて各種精密検査も行われます。
費用は健康保険が適用され、医療機関や入院期間・検査内容によって異なりますが、一般的には3割負担として1日当り1万円程度です。また、金額によっては高額療養費制度の適用も可能です。
糖尿病教育入院がどのようなものか、大枠はご理解いただけたでしょうか。それでは、次ページで、私の糖尿病教育入院体験をご紹介します。まずは糖尿病教育入院へ行くことになった経緯からお話していきましょう。