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糖尿病の治療薬

-第10回 インスリン療法-その5

血糖自己測定(SMBG)

今回は、血糖自己測定とインスリン製剤の注射回数と組み合わせについて、インスリン治療の実際の例を見ながら説明していきます。まずは、そのために欠かせない血糖自己測定から見ていきましょう。

血糖自己測定は、読んで字のごとく、日常生活の中で、自分自身が血糖を測定することです。血糖の動きは人によって異なりますし、たとえ同じ人であったとしても、いつも一定の動きとは限りません。

このような血糖の動きを把握することにより、糖尿病治療の管理に役立てるための検査として、血糖自己測定が確立され、実用化されるようになりました。血糖自己測定は英語のSelf-Monitoring of Blood Glucoseの頭文字をとって「SMBG」ともいわれます。

糖尿病の治療は、血糖のコントロールが基本ですので、血糖が適正にコントロールできているかを、血糖の動きによってチェックする必要があります。特にインスリン療法では、血糖の動きによって、インスリンを投与するタイミングや食事をとるタイミングを調整する必要がありますので、血糖自己測定の結果が非常に重要です。

また、医師にとっては、インスリン製剤の選択や量の調整や食事指導を行ううえで必要不可欠な情報となります。ですので、測定結果はノートなどに必ず記録して、通院の際に持参し、主治医に提出しましょう。

通常の血糖コントロール状況を把握するための測定ポイントは、食前、食後2時間、就寝前、深夜(午前3時ごろ)の4つの時間帯です。朝食前と朝食後(または夕食前と夕食後)の1日2回を週に2~3回測定し、さらに週に1回はこれらに加えて就寝前と深夜にも測定できれば理想的です。

強化インスリン療法(第9回コラム参照)の場合は、厳格な血糖コントロールを目指すために、血糖値に応じたインスリンの量の調節が必要ですので、頻回に血糖自己測定を行うことになります。

インスリンの量を調節するには、その時点で注射したインスリンが血糖を測定するポイントに効いているかどうかを確認する必要がありますので、毎食前、毎食後、就寝前、深夜が測定ポイントになります。

また、普段の生活状況とは異なる場合、たとえば、普段より運動をしたときや普段と異なる食事をとったとき、低血糖症状が発現したときなどは、その都度測定する必要があります。ただし、実際の測定回数、測定ポイントは、糖尿病の状態や生活スタイルなどによって人それぞれ異なりますので、必ず主治医と相談して決定するようにしてください。

 

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