糖尿病教育入院・体験記
-第4回 経過は順調
一日血糖・一日蓄尿って何のためにやるの?
このコラムは、医療機関に勤め糖尿病の知識が十分あるにもかかわらず、糖尿病教育入院に行くことになってしまった「もっち」こと私の体験記です。 (前回を読む)
教育入院では、一日血糖測定と一日蓄尿という検査があります。このコラムの教育入院スケジュールの場合は、2日目と8日目に一日血糖が、また、1日目の午後から一日蓄尿が行われています。では、これらの検査は何のために行われるかご存知ですか。
糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)の量が慢性的に多くなっている疾患で、ブドウ糖をはじめとする栄養を上手く利用できない状態です。
人が食べた炭水化物(糖質)は、唾液やすい臓の酵素や腸液によって消化され、最終的にブドウ糖になって血液中に吸収されます。
血液中に吸収されたブドウ糖は、筋肉などの細胞に栄養分として届けられますが、細胞に取り込むとき、すい臓から分泌されたインスリンの力が必要です。
つまり、食事によって増えたブドウ糖はインスリンがなければ栄養分として利用されないということです。
糖尿病になると、インスリンの分泌量が不足していたり、量があったとしても作用が低下していたりするために、血液中のブドウ糖が利用されることなく余った結果、高血糖を引き起こします。
そこで何が原因で高血糖を引き起こしているのかを探るため、一日血糖測定や一日蓄尿が行われます。
食前・食後の血糖やインスリン量を測ることにより、食事を摂った後のインスリンの分泌に問題がないか、インスリンの血糖を下げる作用が弱く(感受性の低下)なっていないかなどを知ることができます。また一日蓄尿で、一日のインスリンの分泌量を確認することができます。
これらの検査で糖尿病の現状を把握することで、今後の治療方針に反映させることができるのです。