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糖尿病教育入院・体験記

-第5回 合併症を学ぶ

糖尿病の合併症が進行していないか


このコラムは、医療機関に勤め糖尿病の知識が十分あるにもかかわらず、糖尿病教育入院に行くことになってしまった「もっち」こと私の体験記です。 (前回を読む)


教育入院では、糖尿病治療の一番の目的である「合併症の進行を防ぐ」ため、検査や患者自身が合併症の進行に気づくことができるように学ぶ講義もあります。

たとえば、腹部エコーでは、内臓脂肪や皮下脂肪のつき具合を検査します。肥満(内臓脂肪)がメタボリックシンドロームの要因となり、脳梗塞や心筋梗塞などの死に至るような合併症に繋がることはご承知の通りです。
さらに胆のう・肝臓・腎臓・すい臓などに、石(胆石、結石等)や腫瘍ができていないか、できていたらその大きさはどうかも見ています。

眼科検診では糖尿病の3大合併症のひとつである糖尿病網膜症が発症していないかどうか検査されます。糖尿病網膜症は、血糖値の高い状態が続くことで目の中の網膜にある細い血管がもろくなって出血し、結果として視力が低下、最悪の場合は失明に至ることもある疾患です。

また、講義で、患者本人が自分の身体をチェックする大切さを学びます。
たとえば、糖尿病が自覚症状のないまま静かに進行していく中、3大合併症のひとつである糖尿病神経障害だけは、手足のしびれという初期症状があらわれます。そして足指の神経障害が糖尿病の悪化に伴って足先の動脈硬化・細菌などへの抵抗力低下と進行すると、普通ならなんでもないような外傷・タコ・水虫などから感染して、最終的には潰瘍や壊疽(えそ)にまで至ることもあります。そのため、長く糖尿病にかかっている人は日頃からの足のチェックとケアを心がけることがとても重要です。

そして意外に知られていないのが、糖尿病と歯周病の関連性です。
歯周病は、ご存知のように歯垢が原因で歯を支える組織が炎症を起こす疾患です。糖尿病患者は唾液の分泌が少ないため歯垢がつきやすく、また、免疫機能も低下しているので細菌への抵抗力が弱く、歯周病が悪化しやすいのです。

歯周病になると体内にTNF-αという悪玉物質が産生され、これがインスリンの働きを妨げるため血糖値が高くなります。このように歯周病と糖尿病はお互いに悪影響を及ぼしているため、糖尿病患者は特に歯周病の予防にも心がける必要があるといえるでしょう。

 

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