[糖尿病 運動] セーフティウォーキングのススメ
-第31回 腰痛を防ぐ歩き方-その2
腰椎の変形が、歩行障害を起こす原因に
2007年、日本整形外科学会は、「背骨や膝関節の故障によって日常生活に支障をきたし、要介護になってしまう状態」をロコモティブシンドローム(運動器症候群)と名づけ、以来、その対策の必要性を提唱しています。
とくに、腰椎(背骨の下部)の変形は、当コラム第1回でもご紹介したように、40歳以上の約3,790万人に生じていると推測されています。昨年、私たちが日本の10地域で行った調査(平均年齢70.8歳)では、腰や背、臀部に痛みのある人が58.2%で、2km以上続けて歩けない人は、42.0%でした。
図1に示すように、背骨の後方には、脊柱管という管があって、この中には、脊髄神経が収まっています。腰椎の変形が進行すると増殖した変性骨によって、この管が狭くなり、脊髄神経を締めつけます。
腰部の脊髄神経から枝分かれした末梢神経は下半身に分布していますので、ここで締めつけられると下肢に痛みや感覚異常、筋力低下が生じて、歩行障害を起こします。
図1の下図は、腰椎を点線部分で輪切りにした断面図です。変形した腰椎の脊柱管が狭くなっているのがわかります。このような状態になると、脊髄神経が締めつけられて、下肢に痛みやしびれが起こって歩けなくなります。