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糖尿病の治療薬

-第6回 インスリン療法-その1

インスリン療法の適応-2

【相対的適応】

①2型糖尿病の方であっても、著しい高血糖(たとえば、空腹時血糖値250mg/dL以上、随時血糖値350mg/dL以上)を認める場合:

経口糖尿病薬とインスリンを併用することで、速やかに高血糖状態を改善します。インスリンを投与することで、すい臓からのインスリン分泌が回復し、短期間でインスリン療法を中止できることがあります。

②2型糖尿病の方で、経口糖尿病薬で治療しても良好な血糖コントロールが得られない場合(SU薬を投与しても効果のないSU薬一次無効または二次無効の場合など):

経口糖尿病薬を色々と工夫して治療を行っても、血糖コントロールの改善がみられない場合には、インスリン療法へ切り替えて治療が行われます。経口糖尿病薬のSU薬(第2回コラム参照)の二次無効とは、長期間使用しているとβ細胞の機能が低下して、SU薬の効果が減弱することで、このようなときにインスリン療法に切り替えるとβ細胞が休息でき、インスリンの分泌能力が回復することがあります。SU薬の一次無効は、はじめからSU薬が効かないことをいいます。

③やせ型で栄養状態が低下している場合:

やせ型で栄養状態が悪い場合は、インスリンを分泌する能力が低下していると考えられます。そのためインスリン投与により、症状および血糖値を改善します。

④ステロイド治療時に高血糖を認める場合:

ステロイドは、肝臓で糖を合成するはたらきを促進し、また筋肉では糖の取り込みを妨げますので、血糖値が上昇します。ステロイド治療時には、急激な血糖値の上昇に対応するために、インスリン療法が取り入れられる場合があります。

⑤ブドウ糖毒性を積極的に解除する場合:

ブドウ糖毒性とは、高血糖がすい臓のβ細胞に悪影響を与えて、インスリンの分泌もインスリンの効き目も悪くしてしまうことをいいます。つまり高血糖が持続することで、ブドウ糖自身が生体に毒として働くことになります。最近では、このブドウ糖毒性を早く解除するためにインスリン療法を行うことも多くあります。ブドウ糖毒性が解除され、筋肉や肝臓でインスリンの感受性が改善され、さらにすい臓からのインスリン分泌が復活すれば、インスリン治療は必要なくなります。

以上、今回は、インスリンの歴史とインスリン療法の適応について見てみました。次回から、インスリン製剤の種類や特徴などについて、詳しく説明していきたいと思います。

著者プロフィール:木元 隆之(薬剤師)
1998年インクロムの提携医療機関に入職。約7年の治験コーディネーター(CRC)の経験を経て、現在、治験事務局長を務める。

 

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